【採用担当者が解説】薬剤師が高収入を目指すための転職・キャリアアップ戦略

竹中 孝行

薬剤師/執筆者

竹中 孝行

2024/12/12 公開

高収入を目指す薬剤師にとって、転職やキャリアアップは重要なステップです。しかし、どのようにアプローチすれば効果的なのか、具体的な戦略が分からない方も多いでしょう。ここでは、採用担当者の視点から、薬剤師が高収入を実現するための転職やキャリアアップのポイントを詳しく解説します。市場の動向をもとに、実践的なアドバイスをお届けしますので、ぜひ参考にしてみてください。

薬剤師の平均年収

まずは、薬剤師の平均年収が、他の職種と比較してどのような立ち位置にあるのかをご紹介します。厚生労働省の調査(令和5年賃金構造基本統計調査)の結果によると、薬剤師の年収、全国平均は577.9万円となります。日本人の平均年収は458万円(令和4年分 民間給与実態統計調査)ですので、薬剤師の平均年収は比較的高めの傾向があります。

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業界別年収比較【病院薬剤師・調剤薬局・ドラッグストア】

薬剤師が勤務する業界によって年収は大きく異なります。病院薬剤師の平均年収は比較的低めで、調剤薬局も平均的な年収が多いです。一方、ドラッグストアや製薬企業では、より高い年収が期待できます。特に製薬企業の薬剤師は年収700万円以上になることも珍しくありません。自分がどの業界に進むかで、収入に大きな差が生じるため、慎重な選択が求められます。

地域差や経験年数による収入の違い

薬剤師の年収は、都市部と地方でも差があります。一般的に、薬局やドラッグストアにおいては、地方など僻地での薬剤師のほうが高い年収を得やすいです。加えて、経験年数が増えることで年収も上昇しやすく、管理職に就くと一層の昇給が期待されます。特に、経験豊富な薬剤師は転職時に交渉力を持ちやすく、好条件を引き出すことが可能です。

薬剤師が高収入を目指すための転職ポイント

高収入を得ている薬剤師には共通の特徴があります。それは、自分のスキルを活かせる場を選んでいること、管理職や専門職などキャリアの方向性を明確にしていることです。特に企業内薬剤師や製薬企業で働く薬剤師は、一般の薬剤師よりも高い収入を得やすいです。高収入を得るためには、ただの「薬剤師」ではなく、役職や専門分野に特化することが重要です。

求められるスキルと資格の取得

高収入を目指す薬剤師には、一般的な薬剤師業務のスキルだけでなく、専門資格やマネジメントスキルが求められます。たとえば、認定薬剤師や専門薬剤師の資格は、職場での信頼を高め、高収入への道を開きます。また、エリアマネージャーや管理薬剤師を目指す場合、リーダーシップやチーム管理能力も重要です。

人気の高収入転職先に転職する

高収入を得たい薬剤師に人気の転職先として、製薬企業や企業内薬剤師、そしてフリーランス薬剤師が挙げられます。特に製薬企業の薬剤師は、専門知識を活かした研究開発や品質管理の業務で高収入を得やすいです。フリーランス薬剤師として独立することで、自分で価格設定ができ、収入を大きく増やすことも可能ですが、安定という意味では不安もある仕事です。

薬剤師が成功するためのヒントを紹介

ここでは、キャリアアップや仕事の成果を最大化するための実践的なヒントを紹介します。これらのポイントを参考に、自分の成功をつかみましょう。

自己投資とスキルアップ

高収入を目指す薬剤師にとって、自己投資は避けて通れない道です。スキルアップのために研修やセミナーに参加し、常に最新の知識を身につけることが重要です。特に、医療の進化が早い現代において、新しい治療法や薬に対する知識は欠かせません。自己投資を怠らず、専門分野での強みを持つことが高収入への近道となります。

人脈作りと情報収集

薬剤師が高収入を得るためには、適切な人脈作りと情報収集が不可欠です。業界の動向や転職のタイミングを見極めるためには、同業者や先輩薬剤師とのつながりを大切にしましょう。さらに、SNSや業界誌などで最新の求人情報を常にチェックすることで、好条件の転職先を見つけやすくなります。

長期的なキャリアビジョン

高収入を得るには、短期的な収入増加を狙うだけでなく、長期的なキャリアビジョンを持つことが大切です。今後どのようなポジションを目指すのか、どの業界で働きたいのかを明確にしておくことで、無駄のないキャリアアップが可能です。将来的に管理職や独立を考えている場合は、早い段階から準備を始めることが成功の秘訣です。

高収入を狙う薬剤師が知っておくべき注意点

そのなかでも押さえておくべきポイントを紹介します。

激務とワークライフバランス

高収入のポジションには、責任が伴い、ときには激務になることも少なくありません。そのため、収入だけを重視するのではなく、働きやすさやワークライフバランスを考慮することが重要です。特に家族との時間や自分の健康を大切にしながら、無理なく働ける職場環境を選びましょう。

転職先や業界の安定性

高収入を目指す際、転職先や業界の安定性にも注意が必要です。短期間での高収入を得ることができても、将来的に業界自体が不安定になってしまうリスクもあります。医療業界の将来性や転職先の経営状況をよく調べ、安定したキャリアを築けるかどうかを判断しましょう。

【採用担当者がアドバイス】薬剤師の転職面接で気を付けるべきポイント

面接時に気をつけるべきポイントをご紹介します。

転職理由はポジティブに

転職理由でネガティブなことは言わないようにしましょう。特に、職場の悪口や人間関係のトラブルについて話すことは悪い印象を与えます。ご自身に非がないとしても、その環境の改善に向けて主体的な行動を起こせていないと評価されてしまうことがあります。ご自身のキャリアをどのように捉え、転職を行うことで目標達成に向かっていける、そのようなポジティブな発言をするようにしましょう。

会社のことをしっかり調べる

面接先の薬局のこと、会社のことをしっかりと調べて面接に臨みましょう。薬局や会社の情報は、ある程度ホームページ等で調べることができます。あらかじめ、質問したい内容をまとめておくと面接がスムーズに進みますし、採用する側としても、よく調べてくれていると高い評価につながります。

『薬剤師』『転職』に関するよくある質問Q&A

次に、薬剤師の転職についてよくある質問にお答えします。

転職のタイミングはいつがいいですか?

竹中 孝行

薬剤師

竹中 孝行

前職の勤務期間が極端に短い、転職回数が多いことは、印象としては悪くなりがちです。ある程度の期間は、ひとつの職場にとどまり、活躍されることをおすすめします。但し、明らかに今の職場の環境が良くない、成長が見込めないと判断した場合には、我慢する必要はありません。そう思ったときが、転職のタイミングですので、転職活動をはじめるようにしましょう。

転職活動中に気を付けることはありますか?

竹中 孝行

薬剤師

竹中 孝行

転職活動をする際には、ご自身のキャリアの軸をしっかりと考えるようにしましょう。何を大切に働きたいのか、今後どのようなことをしていきたいか、を明確に定めておくことをおすすめします。軸があることで、会社を選びやすくなります。ご自身にあった、そして、長く安心して働ける会社に出会うためにも大切なことになります。

高収入を狙うためには薬剤師として独立するもおすすめですか?

竹中 孝行

薬剤師

竹中 孝行

高収入が得たいからと安易に独立を考えることはおすすめしません。一度、経営をはじめると大きなリスクと責任を伴いますし、安定という意味では不安がつきまといます。5年後、10年後の長いスパンでのキャリアをしっかりと考え、それでも独立ことが最善と判断した場合には、ひとつの選択肢として動いても良いかと思います。

まとめ

薬剤師として高収入を目指すためには、業界選びやスキルアップ、そしてキャリアプランの構築が重要です。製薬企業や企業内薬剤師への転職、資格取得を通じたキャリアアップは大きな収入増加のチャンスとなります。しかし、収入だけを優先するのではなく、自分に合った働き方や生活のバランスを考えた上でキャリアを選択することが大切です。

竹中 孝行

執筆者竹中 孝行

薬剤師

薬剤師。外資系製薬会社に勤務後、保険薬局勤務を経て、2012年株式会社バンブーを設立。薬局、介護、美容事業を運営。 一般の方に薬局・薬剤師のことをより知ってもらうことを目的に、2016年一般社団法人薬局支援協会を設立。

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